気刊びびび

なんか気が向いたら書く。

Twitterで見た暗号について考えてみた

 Twitterでこういうツイートを見た。

 解読した人すごいなあと思いつつ、既に解読されている文字を五十音表に整理していくとちょっと面白い傾向が見つかったので、この暗号について考えてみることにした。

 例えばこの暗号で「う」は「于」に非常に近い形を取っている。「于」はそれ自体が「う」と読むうえ、ウ冠をつけるとひらがなの「う」の元になった「宇」となる。また、「わ」は「禾」の二画目を突き出ないようにした形を取るが、「和」との関連性が想起される。そこで、この暗号は「ひらがなやカタカナの成立過程をエミュレートして、万葉仮名から新たに作った仮名体系」なのではないかと当たりをつけた。

 その考えをもとに、元ツイートで出現している文字27種についてその由来を検討してみた。

f:id:minadzki:20180112224243j:plain:w600
(クリックで拡大)

 「変形」はひらがなのように草書体をまとめたもの、「省略」はカタカナのように字の一部を抜き出したもの、という意味で使用している。

 「く」「に」など分かりやすいものもあれば、そうでないものもある。例えば字形の似通っている「あ」と「は」だが、このうち「あ」はそれぞれ「安」の四画目後半部から六画目を抜き出したものと思われる。「は」は「波」の六画目以降だろう*1

 「つ」は「川」の変形にも思えるが、「川」で「つ」と読むこと自体、現代人には自然でないことを考えると、そこにあえてさらに一画足す必要もない気がする。ひょっとしたら「津」を横に倒した上で省略したものかもしれない。

 「き」「す」「み」「ら」「る」は中国で用いられている簡体字に非常に近いものがあり、そのために最初は「万葉仮名や簡体字を元にして作った文字体系ではないか」と考えていた*2。しかししばらく考えた結果、どうやら少なくとも「き」以外は簡体字とは無関係ではないかという結論に至った。「き」については「義」の簡体字である「义」をそのまま使った可能性もあるが、「畿」の省略の可能性もある。

 「か」「た」についてはかなり自信がない。とくに「か」については最後まで悩んだ。「箇」の簡体字である「个」との関連性も感じられるが、他の字の由来を考えると「加」の省略と考える方が多少は自然か。

 面白いなと思ったのは、「な」はぱっと見だと「尓」の省略に思える。これは「に」と読む字であり、もし「これは万葉仮名から作った文字体系ではないか」というところまで当たりがつけられたとしても、「な」と「に」を取り違えてしまえば誤読が発生してしまう。こういうファイアウォールに近い組み合わせは例えば「れ」(「児」の簡体字である「儿」から「る」と取り違えうる)など他にもあり、意図してかせざるか解読を困難にしている。

 この暗号を作った人は文字に比較的強い関心があるのではないかなと感じた。普通、架空文字を作るとなればホツマ文字みたいに母音と子音を図形化するか、オルテ語のように既存の文字にノイズを加えることが多い中、この文字体系は「既存の文字体系の成立過程をエミュレートする」という、個人的には見たことのない過程で作られている。この文字体系を作った人に、他の文字はどのようなものなのか、文字を作ろうとしたきっかけはどのようなものなのかなど、聞いてみたいなあと思った。

*1:今まで四画目から六画目はかぎ、縦棒、はらいの順に書いてたけど、調べたらはらい、かぎ、縦棒の順らしい。まあ書き順は統一的なルールがあるわけでもないし、国によっても異なるので「間違ってた!」と驚くものでもないけど。

*2:とはいえ「み」によく似た「头」は「頭」の簡体字、「る」によく似た「马」は「馬」の簡体字なので、それがなぜ「み」「る」に割り振られているのか説明ができない。