気刊びびび

なんか気が向いたら書く。

校正をやってもらった話

 働音。夜通し作業した甲斐があって、校正が終わった。おかげでその後の仕事は激ねむだったわけだけど。ムラシットくんに校正を頼んだら、かなりいい仕事をしてくれたのでビビった。例えば「(死者が生き返るなんて)ゾンビみたいでかっこいいじゃないか」というセリフを作中に入れてたんだけど、それに対して「ゾンビ映画がないわけではないにせよ、(ゾンビのイメージが固定化、一般化した)ナイト・オブ・ザ・リビングデッドが1968年のはず。それでもOKですか?」という赤が入ってた。いい仕事すぎてビビる。舞台は1968年よりも前なので、確かにゾンビという言葉を使うのはあまりよくない。新潮社の校正が「この年のこの日なら月齢は満月と下弦の間なので、この表現でOK」みたいな校正を入れてて、プロの仕事すごい、というのが一昔前に話題になったけど、それを思い出す。

 とはいえゾンビに替わる表現を考えるのは難しい。死者が生き返った存在としては、他に吸血鬼やミイラなどが思いつくけど、吸血鬼は日本においてはあまり死者が蘇ったものというイメージがなく、またミイラは包帯グルグル巻きのあのイメージは古臭くて今となってはそぐわない。ということで、「死んだはずの奴が生きてるなんて、『吸血鬼』みたいでかっこいいじゃないか」に差し替えた。二重カギ括弧をつけたのは、リチャード・マシスンのSF小説『地球最後の男』(原題:I am Legend)の初訳時のタイトルが『吸血鬼』であり、それに引っかけた格好だ。この小説は「死者が吸血鬼となって蘇り、主人公に襲いかかる」という筋書きのものなので、沼坂はそれを読んだ上で、一般名詞としての吸血鬼ではなくその作品を引き合いに出してるということになる。『吸血鬼』の刊行は1958年で、これなら舞台設定的にも問題ないってわけ。

 校正はやっぱり一人でやったんじゃダメだなと思った。誤字は一人でも丁寧にやればなくせるかもしれないけど、こういう指摘は他の人にやってもらわないと絶対に出てこない。これからは他の人に校正をやってもらうようにしよう。ということはつまり、それだけ早く原稿を仕上げなきゃいけないってことだよね? 無理なのでは? 無理な気がするな。無理だな。無理です。無理でした。