気刊びびび

なんか気が向いたら書く。

夕張市と矢祭町とローソンについて

 朝方に夕張市について調べてたらなかなか面白かったのでまとめようと思う。夕張市といえばみなさんご存知の通り、北海道の中央部にあるメロンと借金で有名な町。昔は石炭でしこたま栄えてたんだけど、石炭の時代じゃなくなったことに加え、炭鉱会社が大事故を起こして倒産しちゃったために炭鉱離れが進み、1990年には最後の炭鉱も閉山。1979年から市長だった中田鉄治氏は、就任以前から石炭産業の斜陽化に危機感を覚えており、「炭鉱から観光へ」というキャッチフレーズで尋常じゃない投資を行い、尋常じゃない借金を作った。嘘かまことか、「自治体は倒産しない。借金には国の保証がある」と言ったという報道もある*1。15億円で博物館を作ったり、55億円で遊園地を作ったり、25億円でスキー場を買収したりしてたら、2006年には債務総額が500億円近くにまで膨れ上がった。同じ程度の規模のまっとうな自治体が1年に使うお金の目安を表す「標準財政規模」は44億円。しかも人口は減少する一方で、税収増は期待できない。要するに年収440万円で昇給の見込みもない人が5000万円の借金を背負っちゃったようなもんだ。激ヤバだ。そんなわけで2006年より夕張市は財政再建団体になる。

 財政再建団体とは、簡単に言ってしまえば「めっちゃ節約しまくってとにかく借金を返すだけの機械になる」というもの。住民サービスも本当に必要最低限のレベルしか提供できないから、結局しわ寄せは住民に来る。まあでも500億の借金をこさえた中田市長を(6期24年も!)選んだのも住民なんだし、これが民主主義だという感じもする。さて、その夕張市がどの程度節約の鬼になってるかを知れる「財政再生計画書」というものがあるので見てみよう*2。例えば下水道使用料金は10立方メートルで2440円に値上げとある。上水道も含めた料金で大阪府大阪市と比べると、1.8倍から2倍以上も夕張市民の負担は重い*3。スケールメリットを考慮して同じ人口規模の北海道美瑛町と比べても、16立方メートル以上だとやはり倍近い負担になる*4。もちろん市民税も重くなる。また、夕張市のゴミ分別方法に注目してほしい*5。一般的な市町村であれば「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」「資源ゴミ」に分別するのが通例であるが、夕張市は「一般ゴミ」と「資源ゴミ」の区別しかない。これはどういうことかというと、夕張市は老朽化したゴミ焼却炉を改善するお金もないため、燃えるゴミも燃えないゴミも一緒くたに埋立処分してるのだという*6

おと「これって、一杯になっちゃったらどうするんですか?」
職員「幸い人口が減っているので、あと5年くらいは持ちそうなんです」
おと「じゃあ、その後は…??」
職員「・・・」

「燃えるゴミ」が燃やせない町・夕張に、暗い日本の未来をみた | みんなの党 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト

 やばい。ちなみに、このゴミ処理施設がある場所をGoogleマップの衛星写真で見てみると、めっちゃすぐ横にビニールハウスがある*7。メロンでも作っているのだろうか……。やめてよ……。つらい……。

 もちろん負担を被るのは住民だけではない。夕張市の職員もまた、当然大きな負担を背負わされる。具体的に言うと、給料がめっちゃ安い。大学新卒で初任給が151,400円、高校新卒だと124,900円だ*8。ちなみに大阪市だと大学新卒で193,536円、高校新卒で158,144円*9。美瑛町だと大学新卒で172,200円、高校新卒で140,100円*10なので、やはり安さが際だつ。しかも先述の「財政再生計画書」によればボーナスも1月分削減(というか支給はするんだ、よかった……)、定期昇給も「国家公務員に準拠」とのことなので今年ようやく昇給しただけで基本的には目減りする方向。国家公務員を闇雲に叩くの自体も僕は本当にどうかと思ってるんだけど、国家公務員を叩いて給料を下げさせると、ただでさえ少ない夕張市職員の給与までさらに下がっちゃうわけだ。とんでもないバタフライエフェクトだよ。いくら物価の安い北海道とはいえ、月124,900円で昇給の見込みも薄い生活が、財政再建団体解除となるまで10年以上ずっと続くわけだ。ぶっちゃけて言えば、これローソンで週5日深夜バイトをした方が普通にいい暮らしできる*11んだよね……。それってどうなんだ。いくら何でもモラールの問題がある。

 で、話はがらりと変わって福島県に矢祭町という町がある。この町、かなり面白い自治体で、例えば図書館の運営費を削減するために、蔵書はすべて住民の寄付でまかなうことにしたり(そしたらなぜか蔵書数が445,000冊と品川区立図書館より多くなってしまったという*12)、合併しない宣言をしてみたりと、いろんな試みを打ち出してる。その中の一つが、世にも珍しい「町議会議員の報酬を月収制から日当制に変える」という政策。詳しくはダイヤモンド・オンラインの記事に詳しい(カリスマリーダーなき後の崇高な理想と現実 全国で唯一議員報酬を日当制にした矢祭町の「今」|相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記|ダイヤモンド・オンライン)ので読んでほしいんだけど、要するに議会のない日は報酬をゼロにすることで、人件費の削減を図ったらしい。効果はすごくて、それまで年収347万円だったのが、日当制の導入で年収132万円にまで減少。これも財政効果だけ見ればすごいんだろうけど、モラールの問題があるでしょ。先述の夕張市職員(高校新卒)よりも低いぞ。当然ローソンの深夜バイトよりも低い。市職員と町議会議員とローソン店員を比べた時に、ローソンが一番時給高いのってどうなんだよ。

 まとまらない。要するに、無闇に給料下げるのどうなんだって話。いくら何でも限度というものが。